最近では特に、「中古マンションを購入してのリノベーション」するのが人気です。
一般的に「住まいのリノベーション」というと
- 自分たちに合った快適な生活が実現できる
- オシャレで個性的な空間が実現できる
- 家族みんなが満足できて家族の関係性がよくなる
などと良い面だけを想像しがちですが、リノベーションが上手くいかなくて後悔している人がいるのも事実です。
- マンションリノベーションの現実が分かる
- 後悔しないマンションリノベーションをするため大まかな流れがわかる
- 後悔しないマンションリノベーションのためにやるべきこと、やってはいけないことがわかる
マンションリノベーションは何度も行うことが出来ない、人生における一つの大きなイベントといってもいいでしょう。
それだけにこの記事が「後悔しないマンションリノベーションを実現するため」の参考になれば幸いです。
①事前に調べられることはできる限り人任せにしない
その理由は2つあります。
- アナタの思い描くリノベーションのイメージをより具体的にするため
- リノベーションを依頼する会社にイメージを伝わりやすくするため
です。
まずは、アナタのリノベーションについて
- 思い描く理想の完成イメージをしっかり持つ
- 家族構成を考えて、5年先、10年先の生活スタイルをイメージする
- リノベーションしたい動機と理由を明確にする
などの前準備が重要なんです。
リノベーションのイメージが分かりやすい資料を集める
リノベーションをしたいと決めた時、目につくものすべてに目移りして「あれもいい、これもいいなあ」などとなかなか決められないのも分かります。
でも、そのままリノベーションを依頼する会社に相談に行って、きっと何とかうまくまとめてくれるだろうと思うのが「後悔のもと」になるケースが多いのです。
まずは自分のリノベーションに近い資料を集めてみましょう。
リノベーションのイメージは言葉で説明するより、実際の画像データを見せたほうが伝わりやすく説明もほとんどいりません。
画像のデータは調べれば無数にあります。
リノベーション会社の施工事例や、雑誌の切り抜きやInstagram(インスタグラム)・Pinterest(ピンタレスト)などのSNSの写真も参考になります。
また、設備メーカーや建材メーカー、ハウスメーカーのカタログも貴重な資料です。
例えば現場見学会などに行った時に撮った画像をもとに写真データから壁紙の張り替えイメージが作れる無料アプリや、パソコン上でセミオーダーのキッチンやシステム収納のイメージ図を作れるサイトもあります。
ただし、実際の完成形をイメージする便利な資料となりますが、質感や色味が本物と同じという訳ではありませんので、実際の部材を選ぶ時には必ず現物を確認が必要です。
資金事情を見つめ直す
中古マンションの場合、金融機関によっては貸付の際、物件の築年数に制限があったり、担保価値が低い分借入可能金額が購入を希望している物件の価格に満たない場合もあります。
しかしそれは実際の物件があっての話なので、物件探しはリノベーションを依頼する会社にお願いするとしても、自己資金や毎月返済限度額の目安は事前に把握しておくことが大切です。
その物件購入価格やリノベーション費用によっては何十年と返済をしなくてはいけない場合もありますので、長期にわたって生活費、子供の教育費などのほか、突然の出費などに備えて余裕のある返済の予測を立てておくことですね。
リノベーションが完了する時期を計算しスケジュールを立てる
中古マンションのフルリノベーションの場合、かかる工期は、一般的に5~7ヶ月が目安です。
期間の内訳は、設計に2~3ヶ月、工事に3~4ヶ月です。
物件探しから始めるのであれば、スムーズに進んでも、引き渡しまでに半年~1年ほどかかる場合がほとんどです。
また、大掛かりなリノベーションでは、マンションによって理事会の承認を得ないと工事ができない場合があります。
期間が6か月を超えるという事は正月か盆のいずれかと重なることが多く、その間は工事ができないという事まで考えなくてはなりません。
中古マンションを購入してリノベーションとなると、現在の住まいからリノベーション完了後の住まいに移るまでのスケジュールをご夫婦や、お子様の立場になって考えておくことが大切です。
②リノベーションで「できること」と「できないこと」を理解する
リノベーションの現実を知っておくこと
マンションリノベーションの3つの現実
マンションリノベーションは「想定通りに進まないもの」と理解しておく
マンションリノベーションは想定道理すんなり進まないことが大半です。
それは、中古マンションはとくに解体してみないと分からないことがあるからです。
- 柱や配管の劣化など、解体するまで正確に把握することが難しい部分がある
- 解体したらバルコニー近くのコンクリート床周りが濡れている
- 構造となる梁の一部分が破損している
- キッチンを解体したら漏水していた
など実際にあったケースです。
現地を下見したり図面を見た限りでは分からない情報が往々にしてあるのです。
まずは「解体してみないと分からない」という想定できないケースがあるという事をあらかじめ認識しておくことです。
専有部分以外の補修はリノベーション会社が勝手に修繕することはできませんので必ず管理会社さんへの報告が必要です。
残念ながらリノベーション会社にしてみれば自分たちの責任ではないし、関係ないことですからそういう異常や不具合が生じていても放置して工事を進めてしまうケースもあり得ます。
そのためにも解体後は施工する会社と現場立ち合いチェックをして、自分の目で確かめる方が安心ですし、大事なことだと思います。
相談時にこのような場合の対処について確認しておくこともその会社を見極めるために必要ですね。
マンションリノベーションには「やらなければいけない」ことがある
マンションはそこで生活するすべての人のための共有物です。
そのためマンションリノベーションには「やらなければいけない」ことがあるのです。
「生活を守るため」の優先的工事がインフラ設備の交換です。
水の排水管・ガス配管・電気配線など自分だけでなくマンション全体に影響を及ぼすこれらインフラの老朽化を改修し漏電や水漏れのリスクを避ける工事が重要です。
中古マンションの場合、特にこのインフラ設備の点検・改修を怠ると上下左右の方との関係悪化の原因ともなりかねないからです。
マンションリフォームにはルールと制限がある
マンションのリノベーションには3つの制限があります。
- 水回りの設備機器は自由自在に移動できない
- コンクリートの梁や壁は壊せない
- 共用部分は変えられない
です。
●水回りの設備機器は自由自在に移動できない
マンションでは水回りの設備機器(キッチン・お風呂・トイレ・洗面台など)の移動は自由自在にはできません。
なぜならマンションはその構造上、最下層から最上階までパイプスペース(縦の排水管)が通っており、その排水管は移動できないからです。
また、排水管につなぐには各設備機器から一定の勾配をとらないと排水が流れないので、設備機器は排水管からあまり遠くに配置できないのです。
つまり水回りの設備機器は「自由自在に移動できない」という縛りがあるのです。
●コンクリートの梁や壁は壊せない
マンションの代表的な構造のひとつである、壁で建物も支える「壁式構造のマンション」では建物を支える役割を持つ壁を取り去ってワンルームの間取りにするようなリノベーションはできません。
●共用部分は変えられない
マンションには「専有部分(個人所有のエリア)」と「共用部分(区分所有者全員が共有する部分)」があり、共用部分は勝手に手を加えることはできません。
例えば玄関ドアや窓サッシなどは共用部分となるので交換が出来ません。
いくら玄関ドアのデザインを他のドアと一緒なのはイヤだと思っても変えられないのです。
また専有部でも「防音のため床材の種類が限られている」など管理規約によってリノベーション内容に制限が設けられている場合もあります。
事前に構造や規約などの確認は大切です。
③理想とするリノベーションを第三者に分かりやすく説明できる
リノベーションの見積もりもデザインも間取りを変更するについても、相手にアナタのイメージが出来る限り正確に伝わらなければ結果的に満足したリノベーションにたどり着けないのです。
アナタの理想と思いを第三者に分かりやすく説明できるようリノベーションの形を決めておけば、見積もりや設計、デザインなどの行き違いを最小限防ぐことが出来るからです。
細かいところまで決める必要はありませんが、「アナタの理想のイメージ」はぶれないように決めておけば後悔することも最小限防げます。
リノベーションは家族全員の一致した価値観であること
リノベーションをしたいという事は決まっていても、いざショールームや現場見学会などで夫婦間の価値観が対立する光景が見られるときがあります。
奥さんは家にいることが多く、家事をする時間も多いので、キッチンや水回りにこだわりがちです。
一方、旦那さんはどちらかと言うと設計やデザイン、間取りなどが気になって奥様がキッチンの設備にこだわることが理解できないなどというケースです。
この価値観の相違は
- 掛かる費用に影響する
- 全体の工期に影響する
- 理想とするリノベーションが実現できない
などのマイナスな事態を招く可能性があります。
だからご家族間の価値観は打ち合わせ前に納得した形で決めておくことが大事なんです。
④依頼する業者を決めるための重要なポイント
3社以上の業者からの見積もりを見比べる
一口にマンションリノベーションの会社と言ってもそれぞれタイプと得意分野があります。
- 提案力やデザイン性の高さを求めるなら「設計事務所」
- リノベーションに多くの実績をもつ「リノベーション会社」
- フットワークがよく地元の情報に明るい「工務店」
- 設備機器の交換がメインだったら「設備店系」
- 安心と高品質な仕上がりを求めるなら「大企業系」
- 不動産がメインでリフォーム事業部もある「不動産系」
- 設備や家具などの部分的なリノベーションなら「インテリア系」
などがあります。
どこを選択するかは「アナタが実現したい理想のリノベーション」から決める必要がありますが、依頼する会社を選ぶ方法として「複数の業者に見積もりを依頼する」が常識になっています。
3社くらいの会社から相見積もりをして比較検討することです。
それぞれの会社は営業ですからいろいろ営業トークを仕掛けてきますが、明確に「自分のリノベーションのイメージ」をもって判断することです。
担当する営業マンとの相性を見極める
リノベーションが成功するかどうかのカギを握るポイントの一つに担当営業者との相性があります。
依頼したい会社が社会的な信用が大きい有名な企業であっても、直接担当する営業マンがアナタの意を上手く汲んでくれなければ満足するリノベーションは実現しません。
出来ない担当者の見極めポイント
出来ない担当者の特徴は主に2つの共通点があります。
- アナタの理想としていることや悩みを理解できない人
- アナタの理想や悩みを解決できる能力が低い人
です。
理想や悩みを理解できない人の特徴
相談中にこんな行動やしぐさがある担当者は要チェックです。
- こちらの話はあまり聞いている様子がないのにやたらウンチクを語ってくる
- 話は聞いてくれているようなんだけど、合間に理解しているか不安な時がある
- 返事はいいけど見積もりや設計などに反映されていない
要は他人の話を聞いてない、メモもとらないという担当者は注意した方が無難です。
出来る担当者の見極め方は
- アナタのプランや理想に専門的な補足や提案力がある
- そもそもリノベーションの知識は豊富である
- アナタの悩みに的確に回答できる
- 事前にリスクのあることをちゃんと話す
- 社内のコミュニケーションや連携がとれている
などがキメ手です。
担当者といっても営業ですから、なるべく会社に優位にお客様との契約を結びたいのが本音です。
しかし、できる営業マンは目の前にいるお客様を通して末永くそして多くのつながりを持つように誠心誠意を込めるということを知っているのです。
アナタの理想や悩みを解決できる能力が低い人
相談されたリノベーションのプランや理想は理解で見ても、具体的に解決する能力が無ければ意味がありません。
経験値の浅い入社したての営業マンならいざしらず、ある程度の経験値がありそうな担当者だったらまさに致命的ですね。
担当者は見積もり、設計、プランの立ち上げから建築中の管理、トラブルの対応、完成後のアフターフォローまで長い付き合いになる大切な相棒です。
「担当者とは余り相性がよくなさそうだけどまあいいか」などは禁物です。そこは徹底的にこだわるところです。
⑤出来る限り現場見学会は参加し、現場を実感する
現場見学会などには積極的に参加する価値があります。
そのメリットは下記の6つ
- 実際の空間を体験できる
ホームページなどで見る施工例をいくら詳しく見ても実際の現場で見るのとはぜんせん違います。思い描いていた固定観念を払拭する「目からウロコ」の発見があるはずです。 - スケール感が実感できる
個室の広さや天井の高さといったサイズ感をリアルに体感できます。
また住まい全体のスケールも実感できるのでいろいろなスペース配分の目安にもなります。 - 素材や設備の実物が見られる
フローリング材やタイルなどの床材、キッチン設備や洗面などの水回り機器も実際の設置を見て、あなたの考えていたイメージをより具体的にすることが出来ます。 - リノベーションのちょっとしたアイデアがもらえる
造作家具やインテリア、設備機器などのちょっとしたアイデアに出会えます。
担当者との打ち合わせでも、「この間見学したような家具や機器にしたい」などの共通認識ができ打ち合わせもスムーズになります。 - リノベ経験者のリアルな声が聞ける
実際住んでいる人の意見は何より説得感があってリアルです。いろいろ質問できれば考えていた時には思いつかなかったヒントが聞けるかもしれません。 - 自分の好みや理想が見えてくる
何件か見学会を進めていくとおのずと自分の求めているリノベーション像がはっきり絞られてきますね。また見学会を主催する会社との相性も見えてくると思います。
なるべく多くのリノベーション会社主催の見学会に参加して、いろいろ見比べてみることが大切です。
まとめ
初めてのマンションリノベーションは、なにもわからず、何をしたらいいのかもわからないところから始まるので大変不安なことばかりですよね。
後悔しない自分が理想とするマンションリノベーションを前に進めるために「5つのすべきこと」を、ぜひ参考にしてください。
- 自分のリノベーションは「何のために」「いつまでに」「どうしたいのか」を最初にはっきりイメージしておくこと
- すべてリノベーションが解決してくれると思わず、「できること」と「できないこと」をしっかり理解すること
- 自分が思い描く理想とするリノベーションを第三者に分かりやすく説明できるまで煮詰めること
- 依頼する会社の担当者との相性を見極めること
- 出来る限り現場見学会は参加し、現場を実感する