リノベーションで実際にあったリスクとトラブル
いままで実際にリノベーションを実施するにあたって起こった「トラブル」を集めました。貴方の「雨に濡れる前の傘」であるように頭の片隅にご記憶いただければ嬉しいです。
① 明確な目的がなく、勢いでなんとなくリノベーションしてしまう。
リノベーションをすると決めた当初は「しゃれたデザインのレイアウトにしたい」「今流行の設備を取り入れ快適に過ごしたい」「暮らしやすい間取りにしたい」などと、いろいろな願望を詰め込んだ住まいにしたいと考えがちですが、絶世の美人美男も付きあいも長くなれば、「こんなはずじゃなかった」なんて部分も出てきて、「なんでこんな選択をしちゃったんだろう」なんて後悔される方もいらっしゃるのと同じでリノベーションにもそれは当てはまります。
最終的に「そこに住んでどうするの」ということをしっかり考えておかないと大変なことになりかねないということです。
・売りたくても売れない
立地も建物にも魅力はあるのに、売却損をしてしまうということがあります。
なぜなら、築浅の綺麗な物件だから高く売れるかと言ったら、ほとんどの場合はその逆で、築20年より新しい物件は売却時にマイナスになりやすいからです。
新築から築20年ぐらいまで価格は下落しつづけますが、それ以降は価格は横ばいになっているのがデータで分かっています。
相場が上昇すればプラスになることもあるので、マンションは築20年前後以降がおすすめです。
・貸したくても貸せない
まず物件の立地が重要です。将来賃貸を考えるのなら「最寄りの駅から徒歩10分」がおススメです。なぜなら、物件検索サイトなどで「徒歩10分以内」と設定する人がほとんどですよね。ということは10分以内物件のニーズが高く、借り手がつきやすいからです。
また、間取りやインテリアコーディネートなどに自分だけの独特な感性をつめこみすぎると、一般受けせず、借り手がつきにくくなる場合もありますので。シンプルなデザインを心掛けたいですね。
・住み続けたいけど住みづらい
永く住み続けると、家族構成やライフスタイルが変わり間取りが合わなくなったことが要因で住み替える人もいます。事実、住宅購入者の約6人中1人が住み替えを検討しています。
そうならないためには、いまの時点で必要最低限の間取りを考えること。部屋の数はできるだけ少なくしましょう。
かなり広くて余白のある空間になりますが、何か想定外なことが起きて部屋が必要になったら、余白の箇所につくればOKですし、その必要がなかったら快適な暮らしがずっと続きますから。
・子育てに向かない空間
やたらと壁で仕切ったレイアウトは、将来子育てをするご家庭には向かないと思います。子育て家族にとっては、台所に立って全体を見渡せる空間にして、いつでも子供の動きを見守れることが必要ですね。
そのためには、できるだけ壁のない空間にしておいて、もし、子供が大きくなって子供部屋が必要になったら、後で壁をたてて部屋をつくれば解決します。
② 予算設定を間違える
予算を決める際に、「いまの預貯金がこれくらいだから予算はこれくらいにしよう!」「いまの家賃と同じくらいの月々の支払いだったら大丈夫だろう!」と何となく考えていると失敗する可能性が高いです。
住宅予算は、感覚的に決めないようにしましょう。客観的な第三者に算出してもらうことをお勧めします。なかでもファイナンシャルプランナー(FP)さんにお願いすると良いでしょう。これからの人生のライフプランを作成しながら、住宅予算を出してくれます。
③ 悪い物件を購入してしまった
マンションの場合、国土交通省がまとめた「RC造(コンクリート)の寿命に係る既住の研究例」によれば、「鉄筋コンクリート造建物の物理的寿命を117年と推定」飯塚裕1979(「建築の維持管理」鹿島出版会)となっており、十分に100年は超える耐久性があるものと考えられています。
壁のひび割れ、破損などの原因の多くは、コンクリートの中に配筋された鉄骨の腐食による膨張で起こるもので、表面のコンクリートが摩耗して、外気や水分が鉄骨に影響を及ぼすのに約60年として建築されていますが、メンテナンスがしっかりしていればそれ以上の維持が十分可能と言われています。
築浅で外観がきれいであっても、維持管理がしっかりされていなければ、このリスクが高まります。
目安として、築15年以上の管理が行き届いたマンションがおススメです。なぜなら、マンションの管理・修繕というのは、だいたい15年くらいで一巡するといわれているからです。
④ リノベーションの施工業者を選び間違えた
リノベーションで理想の家づくりをしたい方は、ワンストップリノベーション会社をお勧めします。
なぜなら、中古を買ってリノベーションというのは、不動産・設計・工事の一気通貫プロジェクトだからで、そのすべてのプロセスを管理して実施してくれますし、その責任も負っているからです。そしてなによりも施主の立場に立って工程すべてを見通してくれるからです。
ワンストップリノベーションの会社ならどこでもいいかというわけではありません。つまるところ重要なのは人と人との相性なので、もし相性が合わないなあと思ったら、遠慮せずなるべく早い段階で別の会社を探すということも大切です。
ほとんどのリノベーション会社で見積もり時に聞かれることは「予算はどれくらいですか」と聞かれると思いますが、その真意は、「何をすればいくら掛かるか」という思考より「施主が用意できる予算内で一体何ができるか」と考えるということです。
施主側としても「いくらなら出来る」という考えから「いくらなら出せる」という思考が必要なようです。
その点を客観的に考えてくれる会社のスタッフの姿勢はその目安の一つです。相談する施主の人生ありきで考えてくれる会社は、人生で大切にしていること・老後のライフスタイル・旅行や趣味…などのいろいろなことを施主の立場で聞いてくれます。
そして、人生を豊かにするものを叶えた後、残ったお金が住宅予算という方針にたって、だから「何千万円までなら安心ですよ」と回答してくれる会社の担当者は、まずは安心だと思えます。
一部、20〜30人以下の小さなリノベーション会社を選ぶのがいいという意見があります。なぜなら、小規模の会社の設計士は、創業期メンバーの経験豊かな設計士の可能性が高いからです。
創業期の経験豊かな設計士は、もちろん引き出しも多く、いろいろなアイデアを持っています。また、人間的にも経験を積んでいるので、いろいろなタイプの方に対応できるということです。
確率として高いとされている情報ですが、すべてに当てはまるわけではありません。業界ではそういうこともあるんだなあ。と認識していただければいいかと思います。
⑤ 見えない箇所からトラブルが発生する…
見えない部分の造りが古かったり、傷んでいたりすることで多額の弁償にまで発展してしまう可能性がありました。
特に、床下の「給水・給湯管・排水管の老朽化」は見えないので注意が必要。なぜなら、老朽化により漏水しやすくなっていることが多いからです。
それらのリスクを避けるには、リノベーション時に配管は必ず交換したほうがいいということです。リノベーションの際に、古い配管は全て新しくすることで「安心」を得られます。
ただし、配管の知識経験のあるリノベーション会社に依頼することが必要です。
⑥ 工事の仕上がりがイメージと異なる…
新築マンションとはことなり、中古マンションはコンクリートがやや変形していたりするので、新築時のように、ピタッと寸分狂わずに仕上げるのはかなり難しいということは、あらかじめ理解しておくと良いでしょう。
その対策は工事中も現場状況を確認するなど、積極的に現場に絡んでいくことをお勧めします。
設計士さんや現場監督さんから定期的に現場状況を画像で共有してもらうようにしましょう。
また、現場に行ったときには、職人さんたちに差し入れする心づかいもいいですね。職人さんも人間でから、どんな人のためにつくっているのか、と顔が見えた方が気持ちをこめられますし、そして何より、その心遣いが職人さんたちも嬉しいのです。
⑦ 近隣からのクレーム
工事中は大きな音、塗料などの臭い、ほこりやごみが出たり、大勢の人や車が出入りするので、ご近所の方々に不便や迷惑をかけることもあり得ます。そのため、近隣には事前に工事をする旨を連絡し、了承を得ることが一番のトラブル回避策になります。
こうしたご近所へのあいさつや工事中に発生したクレームに対応するのは、現場監督の役目です。施主が対応する必要はありません。
下手に施主が出ていくと、責任の所在があいまいになって話がこじれてしまうかもしれませんので、工事が終わるまでは現場に任せましょう。
貴方が近隣住民の立場で、迷惑をこうむっている場合も、施主本人ではなく、まずは現場監督に連絡して、改善をお願いしてください。
工事が終わって入居する際は、改めて近隣にお礼のあいさつをするのも忘れずに。
このようなトラブルの可能性があることは、事前にリノベーション会社に確認しておくことをおススメします。
まとめ
リノベーションは、ワクワクして夢が広がる人生の一大イベントです。が何かを起こすときは、少なからずトラブルがあることも考えておかなければなりません。施主側としては、初めての経験という方がほとんどだと思いますので、とにかく自分と相性のいいリノベーション会社と出会う努力は最低限必要になります。
積極的に相談して相性がいいと思ったら、客観的なアドバイスをしてもらうことが賢いリノベーションの一歩だと思います。