以前はステータスな空間として特別な場所と考えられていた書斎ですが、生活様式の変容と住まいの意識の変化により、オープンな共有のワーキングスペースを書斎として考えるレイアウトが当たり前になってきました。
ウィズコロナの社会的な流れに伴ってホームワークのウェイトが大きくなる時代を過ごすこれからの暮らし方において、書斎の存在について考えました。
「リモートワークをしている場所1位はリビング」という現実
コロナの脅威がいまだ収束しない今、株式会社ビズヒッツ様の「リモートワークをしている場所ランキング!男女500人アンケート調査」によると、リモートワークがまだ生活のリズムとして定着していない実態がよくわかります。
リモートワーク経験者の男女500人に「自宅のどこでリモートワークをしているか」聞いたところ、回答者の半数以上が「リビング」が約53%で一位、次は「寝室・自室」約33%(ワンルームで生活・仕事をしている人も含む)でした。
仕事専用の「仕事部屋・書斎」となると10%ほど。
ほとんどの人が「普段生活している空間」を、ワークスペースとして使っていることがわかります。
なかには「子ども部屋など、自分以外の部屋を使っている」とお子さんがいない時間の有効利用いう人もいました。
リモートワークをきっかけにワークスペースを作った人は24.6%
「以前からワークスペースがあった(15.4%)」と合わせても、きちんとしたワークスペースで仕事をしている人は4割にとどまっているようです。
現在のワークスペースに満足しているか?という設問では、「満足」が12.2%、「やや満足」が33.8%で、合わせて46.0%の人が「現在のワークスペースに満足している」という結果になりました。
仕事をしている場所別の満足度は違う結果に
「仕事部屋・書斎」を使っている51人のうち44人が「満足」「やや満足」と答え、満足度は86.3%。
寝室・自室(48.8%)やリビング(36.4%)で仕事している人たちと比べると、「仕事部屋・書斎」の満足度がいかに高いかがわかります。
逆に考えると、「仕事部屋・書斎」以外の場所では、しかたなく利用しているという意識があるようですね。
理想のワーキングスペースランキングとしては、1位:「仕事専用のスペース」(32.6%)、2位:「静かなところか適度な雑音があるところ」(27.6%)、3位は「快適な椅子と机がある」(27.2%)、4位は「一人になれるところ」(24%)という結果が出ました。
1位の「仕事専用のスペース」が理想と考える理由は、仕事専用で、仕事に関係のない「生活感のあるもの」「気が散るもの」が目に入らないスペースであること。
また、仕事専用のスペースであれば、「家族が帰ってくるたび」「食事のたび」にいちいちパソコンや書類を片付ける手間がないという切実な現実がうかがわれます。
まとめ
現在のワークスペースと理想のワークスペースに対する意識の違いがハッキリと浮き彫りになったアンケート結果でしたね。
あるリノベーションの施工会社のお話によると、プラン相談中の2~3割の男性は「書斎」を希望するようですが、実際実現する人は1割くらいなもんだそうです。
とくに限られた空間のマンションリノベーションにとって、「書斎」の存在は、その目的意識がハッキリしていないと、あとあと後悔のもとになる可能性があるかもしれませんね。